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    • 公開日2020/10/15
    • 更新日2020/10/15

    がまざわたかこのわざわざ手仕事Vol.1|「干し芋」

    おうち時間が増えたことをきっかけにして、じっくり時間をかけて旬の食材を仕込む「手仕事」の魅力が改めて注目されています。そこでNadiaでは、郷土料理研究家として活躍中のNadia Artistがまざわたかこさんに、毎月いろいろな手仕事を教えていただく新連載をスタート。がまざわさんと一緒に季節の手仕事、はじめてみませんか? 

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    がまざわたかこのわざわざ手仕事Vol.1|「干し芋」

     

    季節を感じながら、丁寧に暮らしたい

    連載をさせていただくことになりました、がまざわたかこと申します。
    まずは自己紹介をさせてください。

    夫とふたり暮らし。都内で料理研究家として活動しています。田舎出身のせいか、おばあちゃんが作るような昔ながらのお料理や郷土食、季節の保存食などが好きで得意なジャンルです。昔から作られてきたお料理や手仕事には、自然と共にある丁寧な暮らしぶりや、季節を感じ取り入れながら豊かに暮らす生活の知恵がちりばめられていて、手がかかって大変なのにやらずにはいられない魅力を感じます。

    手仕事をすることでしか感じられない季節の楽しみ方や魅力を、このコラムを通してたくさんの方々と共有していけたらと思っています。

     

    第1回の手仕事は「干し芋」

    見た目の地味さとは裏腹に、上品な甘さとクセになる食感で「干し芋」が好き、という方も多いのではないでしょうか? 最近、ますます人気が急上昇している「干し芋」。お店で買うとなかなかのお値段ですが、自分の好きなさつまいもで自分好みに作れたらうれしいですよね! そこで今回は、「干し芋」の作り方を詳しくご紹介します。

     

    干し芋に適している芋は?

    実は静岡県が発祥の干し芋。それが茨城県の特産となったのには、茨城県の土壌が水はけが良くてさつまいもの生育に向いていたから。もうひとつは、海から吹く冷たい風が干し芋の乾燥に適していたからといわれています。なるほど、干し芋作りの条件として冷たく乾燥した空気は大切ですよね。

    さて、干し芋を作る際に用意するさつまいもですが、ホクホク系よりしっとり系が向いているとされています。品種は安納芋、紅はるか、玉豊など。噛みごたえのあるねっとりとした食感に仕上がります。また、さつまいもは獲りたてより少し貯蔵させておいたものの方が甘みが出るので、こだわりたい! という方は新聞紙にくるんで冷暗所に置いて1か月ほど寝かせてから作るといいと思います。

    では早速、干し芋の作り方をご紹介していきましょう。

     

    自家製干し芋の作り方

     

    【材料(作りやすい分量)】

    さつまいも 1本(約540g)

     

    【作り方】

    【下準備】
     干し芋を作るための道具を揃えます。

    ・さつまいもが入る大きさの鍋と蒸しざる(または蒸し器)
    ・爪楊枝
    ・キッチンペーパー
    ・包丁または糸
    ・大きめのざる
    ・干しかご

    1.きれいに洗ったさつまいもを蒸し器で丸ごと蒸します。(鍋に入らない場合は半分に切っても大丈夫です)大きさや品種にもよりますが、蒸し時間は蒸気が上がってから35~50分ほど。中火くらいの強すぎない蒸気でじっくり時間をかけて蒸すことで甘みが引き出されます。

    2.長時間蒸していると、お湯が蒸発して空焚きになってしまうと危ないので、途中お湯がしっかりあるか確認しながら蒸します。楊枝を刺してみて、力を入れなくてもすーっと刺さるようになるまで蒸します。

    3.蒸しあがったら熱くないように、清潔なふきんかキッチンペーパーで持って皮をむきます。
    熱いうちがむきやすいので、やけどに気を付けて手早くむきます。楊枝を使って皮にきっかけを作ってからだとむきやすいですよ。

    4.さつまいもがアツアツだと実が崩れやすいので、粗熱が取れるまで冷まします。

    5.さつまいもを5mm幅の斜め薄切りにします。(両端は繊維質で干し芋には向かないので切り落として味見しちゃいましょう。)包丁で切ってもいいですが、芋がやわらかくねっとりしていてとっても崩れやすいので気を付けましょう。

    6.糸で切るときれいに切れるので、切りたい幅に下側から糸を食い込ませたら上側に持ってきてクロスさせて切ります。

    7.重ならないようにざるに並べて、連続して天気の良さそうな日を見計らって干します。干す場所は、お日さまがよく当たって風通しが良くて涼しいところが最適です。

    8.干しかごなどがあると、場所も取らずに衛生的に干せるのでおすすめですよ。数時間経ったら上下を返して、まんべんなく乾燥させます。夕方になったら取り込んで、翌日朝からまた干して、乾き具合を見ながら3日から5日干します。

    9.水分が抜けて薄くなり、やや反り返ってきます。乾かし具合はお好みで調整してください。表面が乾くまで湿度が高かったり、不衛生な手で触ったりするとカビが発生することもあるので気を付けましょう。干し終えたらジッパー付きのバッグに入れて冷蔵庫で保存し5日くらいのお日持ちです。すぐに食べない場合は冷凍保存するといいですよ。

    10.棒状やコロコロサイズなど切り方を変えると食感もまた変わって楽しいです。食べる際は、トースターやグリルでさっと炙って食べると香ばしく美味しいですよ。

    ●レシピはこちら
    手作り干し芋

     

    干し芋をアレンジしてかんころ餅に!

    そのまま食べても美味しい干し芋ですが、長崎の郷土菓子『かんころ餅』にアレンジするとまた違った美味しさに! かんころ餅とは、餅に干し芋を練り込んだもので、素朴な味わいながらあと引く美味しさでおすすめの餅菓子です。作り方は電子レンジ加熱で切り餅を使うレシピなのでおうちでも手軽に作ることができます。

    ●詳しいレシピはこちら
    かんころ餅

     

    シンプルなようで実は奥深い干し芋。
    蒸して干すだけですが、さつまいもの品種によっても貯蔵の具合によっても味わいや食感が意外に変わります。干し時間がけっこうかかってしまいますが、手塩にかけた分、干し芋の美味しさは格別です。干し芋作り、ぜひ楽しんでみてくださいね。

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    このコラムを書いたArtist

    がまざわ たかこ
    • Artist

    がまざわ たかこ

    料理家/郷土料理研究家/調理師 ホテルでの和食調理、保育園給食などに従事した経験から現在は 料理教室、レシピ開発、イベント講師、コラム執筆、小学校での食育授業など活動は多岐にわたる。 7年の旅行会社在勤中に目覚めた各地の料理や食文化の魅力にはまり郷土料理研究家の道へ。 作り続けたい定番の家庭料理や、地味だけどおいしい!な『心がほっこりするごはん』をモットーに身体も喜ぶ素朴なごはんを目指し活動している。

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