家庭料理の定番、魚の煮付け
子供の頃、母が魚を煮ていると、台所にお醤油と魚のいい香りが広がって、「いただきます」が待ち遠しかった、そんな思い出があります。
ふっくら煮えた身を口に入れると、魚の旨みがふわっと広がって、甘辛く煮付けた煮魚は、子供の頃から大好きなおかずのひとつです。
魚の煮付けをおいしく作るコツ
魚を煮るというシンプルな料理ですが、生臭さが残ったり、身崩れしたりと、実は失敗談も多い煮魚料理。今回は、煮魚をおいしく作るちょっとしたコツをまとめてみました。
魚の下ごしらえ
魚を煮る前に、生臭みのもとになるものをしっかり取り除いておきます。うろこ、血、ぬめりをとって、水できれいに洗い流します。
そして、味が染み込みやすいように、身の厚い部分に切り込みを入れます。火も通りやすくなり、煮崩れも防げます。
よりおいしく仕上げたい時は、霜降りをしましょう。鍋に湯を沸かし、沸騰したら水を加えて少し温度を下げて魚を入れます。表面がうっすらと白くなったら冷水にとって、うろこや汚れを洗い流します。
霜降りをすると、うろこや汚れが取りやすくなり、すっきりとした味に仕上がります。また、煮崩れを防ぐ役目も。魚を丸ごと煮る時や、魚のアラを煮る場合は、特に、この霜降りのひと手間をかけるのが大事なポイントです。
鍋の大きさ
煮付けに使う鍋は、魚がちょうどおさまるサイズのものを使います。魚が重なってしまうと、火の通りと味にムラができてしまいます。逆に鍋が大きいと煮汁が蒸発しすぎたり、煮崩れの原因に。魚の大きさに合うサイズの鍋を使いましょう。
また、鍋が深いと取り出す時に崩れやすいので、浅い鍋やフライパンを使うのがおすすめです。
煮汁を煮たてて魚を入れる
鍋に煮汁を煮立て、そこに魚を入れます。煮立てた煮汁から煮始めることで、生臭さが残ってしまうという失敗を防いでくれます。
煮汁の中に薄切りの生姜やネギなどを一緒に入れておくのも、臭み消しには効果的です。
必ず落とし蓋をする。魚はひっくり返さない。
魚の煮付けには、必ず落し蓋を使います。落し蓋をすることで、煮汁が対流し、ひっくり返さなくても、少ない煮汁でも全体に火が入り、味が行きわたります。
落し蓋は、クッキングシートで作れば、魚の皮もくっつかず、後始末も手軽です。鍋のサイズに切って、真ん中に穴をあければOKです。
火加減は強めの中火
落し蓋をしても、火加減が弱いと煮汁が対流しないので上手に煮えません。落し蓋のまわりで煮汁がぶくぶく沸いている位の火加減にし、時々煮汁をかけて煮ます。
煮すぎると身が固くなるので、長く加熱しすぎないように10分位で煮付けます。子持ちカレイなどで、大きな卵が入っている時は、卵を取り出して煮ると、加熱のムラが防げます。
盛り付けはフライ返しで
盛り付ける時に、身を崩さないように、フライ返しなどを使って鍋から取り出します。私は、餃子用のターナーを使っています。薄くて広いので、魚をきれいに取り出しやすいです。
くわしいレシピはこちら
●『カレイの煮付け』
寒い冬に!味がしみ込んだふっくら煮つけを作ってみては?
今回は、ごぼうを一緒に煮て付け合せにし、針生姜をのせました。針生姜は細く切ると、煮汁も絡みやすく、美味しくいただけます。
付け合せの野菜は、ごぼうの他にも、うどやネギなどお好みのもので。一緒に煮た野菜にも魚の味がしみて、美味しくいただけるのがうれしいですね。
コツさえ押さえれば、白身魚でも、青魚でもおいしく出来ます。煮魚は、難しい技や、特別な調味料などもいらない、気取らないおふくろの味。いろいろな旬の魚で楽しんでくださいね。
「魚料理の基本」記事をチェック!
・【今が旬】初めてでもできる!あじのさばき方・下処理の手順とコツ
・自宅で極上焼き魚定食を作る!プロが教える魚焼きグリルの使い方
・【プロに教わる】切り身魚の鮮度は●●を見れば分かる!
この記事のライター
料理ブロガー・フードコーディネーター 笠原知子
https://oceans-nadia.com/user/31349