「煮っころがし」とは?
寒さが厳しくなる師走、湯気が恋しく、じっくりコトコト煮た温かい煮物が食べたくなる季節ですね。和食の煮物の名前にもいろいろあるのをご存知ですか?
煮びたし…短時間で薄めの煮汁でさっと煮たもの。小松菜と油揚げなど野菜とだしの出る素材の組み合わせが多いです。(例)小松菜、なす、葉物野菜などと油揚げ、桜えびなどのうま味食材を合わせる。
含め煮…材料によく浸み込むように薄めのたっぷりの煮汁で時間をかけて弱火でコトコト煮て、火を止めたあとに冷ましながら味を含ませます。(例)高野豆腐、根菜、豆類など。
煮っころがし…鍋の中でコロコロと転がしながら煮ていきます。鍋をゆすりながら材料を転がして味を絡めていきます。代表的なのは今回ご紹介する「里いもの煮っころがし」。おふくろの味、おばあちゃんの味のお砂糖とお醬油の甘辛い煮物です。(例)里いも、新じゃがいも、かぼちゃなど。
今回は秋から冬に旬を迎えて美味しくなる里いもを使った、基本の「煮っころがし」の作り方をご紹介。里いもの下処理は「基本の日本料理のむき方で鍋で下茹でする方法」、「簡単に電子レンジで下茹でする方法」の2通りの方法でご紹介します。それぞれお好みの作り方で試してくださいね。
里いもの煮っころがしの作り方
【材料(4人分)】
里いも 皮付き500g(正味350g)
塩 小さじ1
米のとぎ汁 適量(なければ、お湯に生米をひとつまみ入れる)
Aだし 300ml
A酒 大さじ2
A砂糖 大さじ2
醤油 大さじ2
みりん 大さじ2
ゆずの皮 適量
【作り方】
下準備
【鍋で下茹でする場合】
1.里いもは水洗いし、皮は手でこすり洗いして、ザルに広げ半乾きにしておく。
<POINT>半乾きにするとぬめりが出にくく、手もかゆくならないので、皮をむきやすくなります。
2.里いもの上部と底部を包丁で切り落とし、側面を縦に厚く皮をむく。(全部で6面になるようなイメージで)
※側面の皮を対角線状にむくと均等にむけます。
3.里いもに塩をまぶして手でこすりながらぬめりを取る。
※手がかゆくなる方はビニールの手袋をしてください。酢で手を洗うと、かゆみがおさえられます。
4.米のとぎ汁(なければお湯に生米ひとつまみ)を鍋に沸騰させ、里いもを入れてまわりが透明になったら茹でこぼす。水洗いしてぬめりを洗い流す。
【電子レンジで下茹でする場合】
お湯を使わず、電子レンジで下茹でする方法も。こちらは里いも本来のぬめりを活かすことができます。
1.里いもは水洗いし、皮は手でこすり洗いして、ザルに広げて半乾きにしておく。
2.里いものコロンとした側と反対の平らな方(盛り付けたときに裏側になるところ)に隠し包丁を入れる。
3.耐熱容器に里いもを入れて水大さじ2を加え、蓋またはラップをして電子レンジ(600W)で2分加熱する。
4.包丁を入れたところから皮をむく。
<POINT>
・里いもの大きさにより電子レンジの加熱時間は調節してください。
600W/2分⇒500W/2分24秒
・隠し包丁を入れてレンジ加熱することで、皮と実の間にぬめりが出て、そこからつるんと皮がむけます。
【煮る】
下準備ができたら煮ていきます。
1.鍋に里いも、Aを入れて火にかけ、沸騰したらクッキングシートなどで落とし蓋をし、3~4分煮て、醤油を加えて里いもがやわらかくなるまで煮る。
2.里いもがやわらかくなったらみりんを加え、強火で軽く煮詰めて照りを出す。
3.器に盛り、ゆずの皮を添える。
●鍋で下茹でするレシピはこちら
【保存*基本の里芋の皮のむき方・下処理】里芋の煮っころがし
●電子レンジで下茹でするレシピはこちら
【簡単な里芋の皮のむき方】懐かしい芋の煮っころがし#作り置き
里いもは好きだけれど、手がかゆくなる、皮をむくのが面倒で嫌…と思っていませんでしたか? 里いものぬめり成分には、粘膜の保護や免疫力の向上が期待できます。機能性成分が含まれているので、電子レンジで下茹でする方法ではこのぬめりが活かされます。
反対にぬめりの下処理をする包丁で皮をむく日本料理の基本の方法は、おせち料理を作る際にも役立ちます。余分なぬめりを取ることで、煮汁が濁らずに味もしみ込みやすく美しい仕上がりになります。
どちらの方法でもホクホクの食感のほっとする里いもの煮物は美味しいので、夕食の献立に加えてみてはいかがでしょうか?
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