私のコラムのテーマは「昭和山の手、洋の味」と「本場で味わい学んだイタリアン、フレンチ」の二本立ててございまして…。
で、最初のテーマでは、洋食は銀座(老舗って意味で、もちろん各所にイイ店はあります)のレストランとか食堂に行かずに自宅で作って食べて頂きたい、というのが目的です。
わたしの料理教室であれこれとお話したり、指導させて頂いているのと同じ内容をネットでお伝えしよう、というわけ。
さて、ハヤシライスというと現在の若めの方々のイメージでは「濃い色、店によってはほとんど黒いくらい、の何日も煮込んだドミグラスソース」を使用=自宅では作れない料理なのではないかしら?
実は私が子供の頃、昭和30年代では近所の中華食堂なんかでハヤシライスは普通にメニューに載ってた料理なんです。ラーメン、炒飯、酢豚やシュウマイなどのチャイニーズだけでなく、黄色っぽいカレーやオムライスも作る店。
そんな店の定番のひとつだったハヤシライスはケチャップまんまの赤い色が子供に嬉しい、甘酸っぱくて辛くない(当時、子供には辛い物を食べさせないのが当たり前な親のしつけ)洋風ご飯モノだったの。今では化石化して、自宅で作る以外に食べられない幻の味をご伝授いたしましょう。
レシピをご覧になれば分かるけど、本当にあっという間に出来て簡単だからねぇ~。
懐かしい~ケチャップでハヤシライスのレシピはこちら
ケチャップは結構な量を使用しますので、残量を確認しておくこと。
子供のころから我が家ではケチャップはハインツ社製だったので、いまだにハインツを
使用していますが、もちろんカ○メのでも、慣れた味が一番おいしく仕上がります。
ケチャップって本当にトマトがたっぷり、そして余計な添加物とか油脂もあんまり入ってない
意外なほど健康的な調味料、なのは昔カ○メの会社の方に教わりました。
あと、牛肉はしっかりと炒めるのがコツですので、あんまり霜降りだと脂がドンドン出ちゃってソースは脂っぽく、肉はカサカサになるので赤身で少し上等を選んでね。
そう、私の洋食はけっこう材料費がかかる?
だから自分で作るのが美味しいのです。
腕前はすごい、でしょうけれどレストランでは料金に材料費や光熱費の他に家賃、従業員のお給料、売れ残り食材(廃棄する)、オーナーの儲けまで全部加算されているんだから、それで安かったら逆に怪しいでしょう。
肉と言えば牛のファミリーで育っているのでので、牛肉を使用していますが、北海道出身をはじめ豚肉好きの方は豚肉を使っても良いです。
どうも仕上がりはさっぱりするけど、昔の中華食堂、店によっては豚だったかも知れませんから。
本当に簡単レシピなんですが、オリジナルは数年前にNHK「きょうの料理」で発表して、なんだか不思議なくらい好評を頂きましたの。
それを、最近のわたしの考え方に基づいて固形スープを加えず、塩中心の味付けにしました。
マッシュルームも贅沢にフレッシュを使用。
しめじや椎茸でも缶詰マッシュルームよりイイかも、ですが洋食味から遠くなるのが欠点。
化学調味料不使用でも、固形スープを加えると「既製品の味」になりやすいので、肉、玉ねぎ、マッシュルームの品質を厳選して、そのかわり味付けはシンプルに。
ただ、ご家族がファミレスっぽい味付けが好みなら塩を減らして固形スープを加えた方が口に合うかな?
いずれにしても、加える量は少なめに、さらに段々減らしていくように努力しましょう。こんな小さなコトも「食育」よ。
コツといえば、ただひとつ肉を少し焦げ目がつくまでしっかり焼き炒めすること。
小麦粉の量が多めなので肉にまぶしきれないかも、ですが残った粉も一緒にフライパンに入れて強火で炒めます。肉の表面で小麦粉が肉汁バターと共にルーと同様のうまみととろみをソースに加えるのです。
あと、玉ねぎはシャキシャキ食感を残したいので、こちらは炒め過ぎないで、と言いつつココはみなさんの好みもありますね。
手間を省かずていねいに作る、がモットーのわたしの昭和洋食では一番簡単、スピード仕上げなハヤシライス。
21世紀の日本では自宅で作る以外に食べるチャンスのない歴史的な味を(大げさか…)是非お試しください。
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